特別編

2010年4月6日
お客様各位
マリンフード株式会社
研究部長 佐永田 実

「トランス脂肪酸(トランス酸)」について



現在、欧米諸国においてトランス脂肪酸の食事よりの摂取に関しての勧告や含有量の表示の義務付けを進めている国がございます。これら諸外国の動向は日本国内においても報道され、2009年11月24日に福島瑞穂消費者担当相より「食品中のトランス脂肪酸の含有量表示を義務付ける方向で検討を始めるよう消費者庁に指示した。」旨の報道がありました。
弊社、マリンフードにおきましても2005年8月及び2007年8月にトランス脂肪酸についての情報をホームページにてご紹介させて頂きました。
この度(2009年3月9日)、消費者庁食品表示課より「トランス脂肪酸の表示に向けた今後の取組みについて」の報道がされましたので改めましてトランス脂肪酸についてご紹介申し上げます。

● トランス脂肪酸について

① 食品の三大栄養素はたんぱく質、炭水化物、脂肪です。そのうち脂肪を構成しているのが脂肪酸です。
② トランス脂肪酸は天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできる物があります。
③ トランス脂肪酸は天然でも存在しております。牛や羊などの反芻動物では胃の中の微生物の働きによりトランス脂肪酸が作られます。そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中に天然のトランス脂肪酸が含まれています。
④ 油脂の加工・精製でできるものとしては、常温で液体の植物油や魚油から半固体又は固体の油脂を製造する加工技術である「水素添加」によってトランス脂肪酸が生成する場合があります。
⑤ ④の結果として「水素添加」によって製造されるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングやそれらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツ等の洋菓子、揚げ物などに含まれることとなります。
⑥ また、植物から油を絞る際には精製する工程で臭いを取り除くため高温で処理を行います。その際にもトランス脂肪酸ができるためサラダ油等の精製した植物油にも含まれています。

● トランス脂肪酸の体への影響について

① トランス脂肪酸の場合は摂り過ぎた場合の健康への悪影響が注目されております。
② 具体的にはトランス脂肪酸を摂る量が多いと、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増えて、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が減ることが報告されています。日常的にトランス脂肪酸を多く摂りすぎている場合には少ない場合と比較して心臓病のリスクを高めることが示されています。
③ トランス脂肪酸の健康への悪影響を示す研究の多くはトランス脂肪酸を摂る量の多い欧米人を対象にしたもので、日本人の場合にも同じ影響があるのかどうかは明らかではありません。

● トランス脂肪酸の目安量について

① 国際機関が生活習慣病の予防のため開催した専門家会合(食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合)はトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とするように勧告をしています。日本人の場合は一人一日あたり約2g未満が目標量に相当します。
② 農林水産省が実施した調査研究(2008年)では日本人が一人一日当たり摂取しているトランス脂肪酸の平均的な量は0.92~0.96gと推定されています。これは平均総エネルギー量の0.44~0.47%に相当します。
③ また、内閣府食品安全委員会より2007年に公表された日本人のトランス脂肪酸の摂取量は平均総エネルギー摂取量の0.3~0.6%との内容で(表―1)、諸外国と比較し少ない傾向にあり、「一般的な日本人の食生活では摂取しても直ちに問題は無い。」と、しております。

● トランス脂肪酸をめぐる最近の状況について

① 2009年11月24日、福島瑞穂消費者担当相より食品中のトランス脂肪酸の含有量表示を義務付ける方向で検討を始めるよう消費者庁に指示した旨の報道がありました。
② 2010年3月9日、消費者庁より「トランス脂肪酸の表示に向けた今後の取組みについて」のお知らせが発表されました。取組み方針の骨子は以下の通りです。
ⅰ)油脂関係の技術者、専門家等の協力を得て技術作業チームを構成し、トランス脂肪酸の定義や分析法、認められる誤差等のルールや飽和脂肪酸、コレステロールの表示ルールについて技術的な課題を整理した上で、「トランス脂肪酸の情報開示に関するガイドライン(仮称)」を本年夏を目途に取りまとめる。
ⅱ)食品事業者に対しトランス脂肪酸、飽和脂肪酸、コレステロールに関する自主的な情報開示の取組みの要請を行う。
ⅲ)トランス脂肪酸表示の制度化に向け、情報開示の対象とするトランス脂肪酸の定義、天然由来のトランス脂肪酸の取扱いの検討並びにトランス脂肪酸の測定法(公定法)の確定と誤差の許容範囲及びゼロ表示を認める場合の上限値の確定といった技術的な課題を整理するための作業を行う。

● 弊社の今後の取り組みについて

① 弊社と致しましては、トランス脂肪酸を低減化する技術開発と製品への展開を今後も継続して進めると共にマーガリン類のおいしさと使いやすさなどの特性の向上に引続き取組んで参ります。
② 更に、安全で安心いただける製品の提供と、製品選択の判断材料として学術情報や農林水産省、消費者庁、業界といった国内外の動向等を提供して参ります。

表1 トランス脂肪酸(トランス酸)摂取の状況
  調査年 摂取量(g/人/日) 一日当りの総エネルギー
摂取量に対する割合(%)
アメリカ 1994~1996年 5.8 (※1) 2.6%
EU 1995~1996年 男1.2~6.7(※1)
女1.7~4.1(※1)
男0.5~2.1%
女0.8~1.9%
日本 1998年
2006年
1.56 (※2)
0.7(※1)~1.3(※2)
0.7%
0.3~0.6%

※ 1;積み上げ方式=各食品群のトランス脂肪酸分析結果と国レベルの栄養調査結果から国民一人当りの一日に摂取するトランス酸量を算出。
※ 2;生産量推計=食用加工油脂の生産量からトランス脂肪酸摂取量を推計

● 最後に

① マーガリンをはじめとする油脂製品は、食生活を豊かにする重要な食品です。脂質は体の構成要素として、エネルギー源として、更にビタミンA、D、Eといった脂溶性ビタミンの吸収に深く関与する重要な役割を果たしております。
② しかしながら、脂肪の多い食品の食べ過ぎなど偏った食生活を送っている場合はトランス脂肪酸の摂取量が多くなる可能性があります。弊社と致しましては政府の「食事バランスガイド」で示されているように穀類、肉類、海産物、野菜、果物、乳製品等の色々な食物をバランス良くとることが何よりも大切と考えております。

※ 今後とも弊社製品をご愛顧賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

● 参照

「内閣府食品安全委員会ホームページ」
http://www.fsc.go.jp/sonota/54kai-factsheets-trans.pdf
「日本マーガリン工業会ホームページ」
http://www.j-margarine.com/
「農林水産省ホームページ」
http://www.maff.go.jp/food_guide/about/index.html
「消費者庁ホームページ」
http://www.caa.go.jp/
以上