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パブリシティ

新聞 日本食糧新聞 1998年12月9日(水)

「100年後のチーズ」講演

 (大阪)マリンフード(株)(大阪府豊中市、06-6333-6801)の吉村直樹社長は、6月にバルセロナで開催された「第五回デンマークチーズ会議」(主催=デンマーク農業理事会)で講師を務めた。テーマは「100年後の日本と世界のチーズ需要」。会議参加者が多岐にわたったため、直接の利害とは関係なく全参加者に興味が持てる内容としてこのユニークなテーマを選んだが、その思惑はみごとに当たり、国籍を越えて参加者たちは大喝采―だったという。講演の概要は次の通り。
■1■100年後のチーズ需要について
 過去大きな成長を遂げてきた世界のチーズの総消費量だが、中でもわが国はこの40年で飛躍的に成長している。1人当たりの消費量でみると世界中では過去30年間余り変化がなかった(約2.5kg)といえるが、この間の日本の急成長は目を見張るものがあり、1950年のチーズ輸入再開を皮切りに、今年のテレビ放送を機にしたチーズブームまで、様々なエポックメーキングな出来事に連動する形でわが国のチーズ消費量は増大してきた。
 世界各地の推定消費量をみると、低開発国の数字は微々たるもので、世界全体(約1500万t)の90%近くがヨーロッパと北アメリカで消費されており、まだまだ日本もそのレベルに追いついてはいない。
 ここで100年後のわが国のチーズ消費量を推定すると、従来の消費量の推移やチーズそのものの魅力から考えても、1人年間7kg(現在の4倍弱)程度は十分達成できるであろう。今の子供たちは皆チーズもピザも大好き。日本人の食生活は確実に変化してきている。
 今後のチーズ消費にも関連するファクターとして、特に重要なものは(1)低カロリーチーズの開発 (2)アメリカのチーズ輸出激増と関税の引き下げ (3)遺伝子操作による乳量増大―などが考えられる。
 もちろん、人口も重要なファクターで、厚生省が発表した100年後の推定人口は、高位モデルで推移すると現在とほぼ同じ1億2400万人、低位モデルで推移すると約6700万人(実際、現在まで低位モデルで進行中)。
 つまり、100年後の日本の総消費量は48万〜87万t。日本の低位モデルを前提にした100年後の世界のチーズ総消費量は約3100万tということになる。
■2■未来に向けて
 人口に関して私見では、2040〜50年頃減少に歯止めがかかり、2080年頃から再び上昇に転じ、1億1000万人程度と考えられる。
 過去、歴史は急成長、停滞、減少を繰り返してきた。急成長の背景には必ず新しい産業革命などに代表される文化・文明が栄えていた。独断と偏見でこれからの文化・文明の飛躍を占ってみると、(1)遺伝子変革技術の発展と実用化 (2)重水素の核融合によるエネルギー革命 (3)体外受精の一般化(文化の変容) (4)情報技術の超発展 (5)地球外エリアへの脱出―などが考えられる。
 100年後を考える時、単に数字合わせでは満足できず、世界全体を取り巻く思想や哲学に思いを広げざるを得ない。わたしの今日の講演も夢物語となるか、現実のものとなるか、誰も知らないし、見届けることができない。だからこれをテーマに選んだ、ということかもしれない。