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パブリシティ

新聞 日本食糧新聞 2021年2月19日(金)

代替乳製品最前線~代替チーズ「スティリーノ」とその未来~

~無限の可能性を秘める代替チーズ・スティリーノの開発手法~

マリンフード株式会社 研究部
魚井伸悟、小林泰丈、妹尾詩織
魚井伸悟

魚井伸悟

小林泰丈

小林泰丈

妹尾詩織

妹尾詩織



 「スティリーノ」とは、弊社で開発したチーズ代替素材に名付けたオリジナルの名称である。名前の由来はギリシャ語の「ステノ(未来、先進)」、「ティリ(チーズ)」という単語を組み合わせ、未来のチーズという思いを込めて、「スティリーノ」と名付けた。本連載では全三回にわたって代替チーズ・スティリーノの開発手法、多様な特徴、物性について紹介していく。(なお、ここでは便宜上「代替チーズ」等と呼んでいるが、食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規約等に関する省令」(乳等省令)で規定されているチーズには該当しないということを注意していただきたい)

 ナチュラルチーズの歴史は古く、その起源は諸説あるが紀元前6000年頃と言われており、このチーズを原料として作られるプロセスチーズは1910年代から世界で製造が開始された。そして本題の代替チーズは工業的・商業的には1970年代にアメリカで導入されたとされ、世界に徐々に広がっていった。今回はこの代替チーズの開発手法に関して紹介したい。
そもそもナチュラルチーズとプロセスチーズは日本では定義や成分規格が乳等省令で定められているが、代替チーズにはこのような定義・規格はない。そのため溶けや伸び等の物性や風味がチーズに似ているなど、何らかのチーズ様の特徴があり、使用者が目的を持ってチーズの代替として使用するならそれは立派な代替チーズとなる。例えば豆乳とレモン汁などの身近な食材からチーズのようなものを作ることができるが、これもチーズの代わりの食材として使われるなら代替チーズと言えるだろう。
 このように明確な規格が定められていない代替チーズだが、開発手法は大きく分けて二つのアプローチがある。一つ目は、チーズの構成成分の一部を代替素材に置き換える方法である。ナチュラルチーズの構成成分は大まかに分けると、乳たん白、乳脂肪、水分、その他に分けられるため、例えばこの乳脂肪を植物油脂に置き換えることで、一種の代替チーズが出来上がる。この手法では出来る代替チーズの組成がチーズに近くなるため、より本物のチーズに近い溶けや伸び、風味を持たせることができる。なお弊社のスティリーノはこの手法を用いて開発されており、乳脂肪の代わりに植物油脂を使用することでコレステロールカットが可能となっている。もう一つは乳製品とは全く異なる原料を組み合わせてチーズのような食品を作る方法である。例えばでん粉や植物性たん白で生地を作り、チーズ様の風味を付けると、また一種の代替チーズが出来上がる。この手法ではベースがなく、どのような原料を組み合わせても良いため、実際のチーズとはかけ離れた風味や物性になることも多いが、これを逆手に取ると、使用する原料次第では代替チーズでありながら乳成分を含まないといった、乳アレルギーを持つ方でも食べることができる画期的なチーズ様食品を作ることもできるのである。弊社ではこの手法を用いた商品として乳原料不使用かつ、さらに動物性原料も不使用のヴィーガンシュレッドという商品も開発・販売している。このように一口に代替チーズと言っても様々な考え方、アプローチの仕方があり、代替チーズの開発には無限の可能性があるのである。