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パブリシティ

新聞 日本食糧新聞 2021年3月5日(金)

代替乳製品最前線~代替チーズ「スティリーノ」とその未来~(第3回)

~スティリーノの多彩な特徴とラインアップ~

ピザ マリンフードが開発したチーズ代替素材「スティリーノ」について、同社研究部の魚井伸悟氏、小林泰丈氏、妹尾詩織氏が、3回に渡って解説する本連載。連載最終回の今回は、スティリーノシリーズの持つ多彩な物性や特徴について紹介する。

 スティリーノの原材料は乳脂肪の代わりに植物油脂を使用するが、これによりいくつかの特徴が生まれた。一つは、チーズに比べてコレステロール含量が低減したことが挙げられる。「日本食品標準成分表2020」による一般的なゴーダチーズには100g当たり83mgのコレステロールが含まれるが、スティリーノのうち代表的な生地では100g当たり4mgしか含まず、カット率はなんと95%以上になる。これは、原材料にコレステロールをほとんど含まない植物油脂を使用したことで実現した特徴だ。もう一つは、冷めても柔らかいという独自の性質が挙げられる。通常のチーズは、加熱直後は柔らかくとろけるものの、一度冷めるとかたく固まってしまう。しかし、スティリーノは冷めても柔らかくソフトな食感を維持することができる。
 当社は20年春、モッツァレラのように力強く伸びる物性のスティリーノ「モッツァリーノ」の開発に成功し、新商品として家庭用・業務用を展開した。同品は加熱して伸びるのはもちろん、一度冷めた後も再度加熱することで伸びが復活するという、これまでにない特徴がある。通常のモッツァレラが加熱によって伸びる要素のなかで一番重要なのが乳たんぱくのカゼインであり、カゼインがチーズ中で作り出す網目構造が伸びの大きな要因となる。熱湯中で生地を捏ねる製法によって網目構造が絡み合い、伸びる繊維がさらに強くなる。モッツァリーノはモッツァレラが伸びる原理を利用して開発に成功した。
 さらにシリーズの発展形として、乳たんぱくや乳脂肪などの乳成分を一切使用しない、動物性原料不使用の「ヴィーガンシュレッド」の開発にも成功した。植物性原料を主体としてチーズ様の物性を再現した商品で、動物性原料不使用かつ28品目のアレルゲン原料不使用。アレルギーを持つ方にも支持を集めている(ただし、乳成分使用品と同一ラインで製造)。
 昨今の食材への機能性付与、添加物の進歩は目覚ましく、代替チーズにおいてもここ十数年でかなりの進歩がある。当社のスティリーノは開発から今年で15年目を迎えるが、今後は生食できるものや、本物のチーズにはない機能性の付与など、さらなるレベルアップを目指す。いつの日かスティリーノが、チーズの代替ではなく、主役として認知される食材となれるよう、引き続き開発、普及、啓もうに努めていく。