1. マリンフードトップ >
  2. パブリシティ >
  3. 日本食糧新聞 2021年9月3日(金)

パブリシティ

新聞 日本食糧新聞 2021年9月3日(金)

マリンフード 植物性チーズ代替品を進化

吉村直樹

代表取締役
吉村 直樹社長

 約40年前、乳原料高騰に苦しんだ乳業市場では多くの植物性チーズ代替品が登場した。マリンフードはその後も開発を継続し、2007年に「スティリーノ」を発表。同品はチーズに比べ、含まれるコレステロール値の大幅カットを訴求して、家庭用で需要を獲得した。「健康だけを振りかざさない。重要なのは味と価格のバランス」と語る吉村直樹社長に話を聞いた。(篠原記者)

 当社の植物性チーズ代替品の開発の歴史は、37年前の「ノンコレ」にさかのぼる。乳原料高騰の時代に、企業存続のため"今日を生き延びる"戦略商品として、苦労を重ねて開発した。さらに開発を進め、07年に発表した「スティリーノ」は評価が高く、原料暴落時でも市場での生き残りを模索した。これで終わりとも思ったが、少しの可能性に賭けて家庭用に"コレステロール95%オフ"という切り口でシュレッドを売り出したところ、想定以上にヒット。ナチュラルチーズをブレンドした商品やスライスなども加えてブランドを育て、度重なる原料高騰と低価格志向に対応した。今や家庭用販売が7割。ピンチをしのぎ、同ブランドは売上構成比20%を占めるまでに成長した。これは創業来のマーガリン部門の構成比の1.5倍近くに匹敵する。

●拡大の余地ある商品
 スティリーノシリーズの「コレステロール95%オフヘルシーシュレッド300g」が、今や小売店に当たり前に並んでいる。開発時の苦労や、発売当初を振り返ると不思議な光景だ。一方でまだ取り扱いのない小売もあり、さらなる拡大の余地がある。業務用は家庭用に比べて普及スピードが遅い。世界の潮流は圧倒的に業務用が勝っている。価格が安い上に冷めても軟らかい利点があるからだ。日本ではチーズを求めるあまり、同品を"チーズのマガイモノ"ととらえて拒否感を抱くバイヤーがまだ多いのも事実。同品を製造する長浜工場の見学によって理解を求めてきた。今、植物肉は爆発前夜だ。PBF市場の盛り上がりが、急速に意識に変化をもたらし始めている。しかし、一般消費者の支持はもっと早い。味と価格とヘルシーさに価値を見出した。新たに海外市場進出も模索している。

●たゆまぬ開発追求
 より深い「食」を多角的に追及していきたい。生き残りをかけて開発したシリーズだ。新たなスティリーノの進化を目指し、味や溶けの改良など、たゆまぬ開発努力で、永続的な商品に育て上げたい。  TPCマーケティングリサーチによる調査では、当社が19年の国内PBF市場のメーカー別シェアの全体の22.5%を占めトップとなった。今期売上高も引き続き伸長している。現在、年間約6000t製造するが、近い将来に製造1万tを目標としている。