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パブリシティ

雑誌 乳業ジャーナル 2022年6月号

原材料高騰の今、価格だけではない魅力で
脚光を浴びる代替チーズ「スティリーノ」

 今、日本ではありとあらゆる原材料価格や物流費の高騰を背景に、食品やサービス等幅広い分野で値上げラッシュが続いている。チーズももちろん例外ではなく、現在の状況は2007年から始まった乳製品国際相場の空前の高騰を彷彿とさせる。
 「スティリーノ」は弊社が開発したチーズ代替素材であり、ギリシャ語の「ステノ(未来、先進」、「ティリ(チーズ)」という2つの単語が名前の由来で、「未来のチーズ」という我々の思いを込めて名付けられた造語である。弊社の食品メーカーとしての歴史は社名の由来ともなっているマーガリンの製造から始まるが、今やチーズ・スティリーノ事業が全売上の8割近くを占め、弊社の最重要アイテムとしても現在も拡大・成長を続けている。チーズ価格暴騰に見舞われた2007年当時を振り返ると、その前年にはじめてチーズ類の売上がマーガリン・バター類を上回り、まさにチーズ事業が急成長を遂げていた真っ只中であった。当然、弊社にとっては大打撃となり危機的な環境にさらされることとなった訳だが、ここで救世主となったのが同年10月に発売した「スティリーノ」である。発売から15年たった今でも開発サクセスストーリーは社内で語り継がれているほどの大快挙であった。  あらためてスティリーノの主要な特徴を御紹介すると、➀乳脂肪の代わりに植物油脂を使用しているためナチュラルチーズに比べてコレステロール大幅カット、②風味はチーズと遜色なく冷めても柔らかい、③チーズよりもリーズナブルな価格で提供可能である。特に現在のチーズ価格高騰の局面にあっては、必然的にコストメリットという点でお客様には多大な支持を得ているのだが、弊社が描いているスティリーノの未来像はさらにその先にある。
コストメリットを提供することのみに囚われすぎていると、やがてチーズ原料価格が落ち着きを取り戻した時にはお客様はチーズへと回帰していくであろう。実際、2008年後半にチーズ相場が下落に転じると、スティリーノをご採用いただいたお客様のうち一部は再びチーズを支持された。しかし意外にもコストメリット以外の特徴、つまりコレステロールカットや冷めても柔らかい物性、という点にチーズにはない新しい魅力を感じていた多くのお客様にその後も変わらずスティリーノを使い続けていただくことができたのである。これは、発売間もなくまだまだ手作り人海戦術に近い工場ラインでスティリーノを生産していた弊社にとって非常にうれしい誤算であり、ここで確信を得た「スティリーノが持つポテンシャルの高さ」が、その後今日に至るまで延々と続く我々のスティリーノの物性・品質向上への飽くなき挑戦の原動力となっているのである。コストを抑えるためなら物性や品質に多少の妥協は許される、という考え方・姿勢は弊社の開発担当者には一切ない。
 さて近年、主にアメリカやヨーロッパを中心に「植物性代替食品」や「プラントベースフード」が急速にその市場を拡大しつつあり、畜肉業界を筆頭にさまざまな食品カテゴリーで多くの企業が積極的に参入し、技術レベルの向上は日進月歩である。日本国内でもSDGsが盛んに叫ばれるようになり、地球環境に優しい食品としてこれらが注目を浴びてきている。主原料として植物油脂を使用したスティリーノはまさに、チーズ業界に「植物性」という新ジャンルを開拓・浸透させていくための画期的な商品であると自負する。先述のとおり、スティリーノ開発のきっかけはどちらかというとチーズ原料高騰を受け必要に迫られて、という側面が強かった。しかし、コロナ禍における消費者の健康意識・健康志向の高まりや地球環境の持続可能な発展(サスティナビリティ)という現在のトレンドに結果的に調和し、今後スティリーノ果たす役割は間違いなく大きなものになるに違いないであろう。
 発売から15年間のスティリーノの歴史は、弊社にとって「改良」と「進化」の歴史と言っても過言ではない。風味や物性の追求はもちろんのこと、製造ライン適性の向上、保存性や微生物面での課題解決、コストダウン等、挙げればキリがない数々の課題・テーマに対して地道に取り組んできた成果を具現化したのが現在のスティリーノの姿であり、代替チーズのパイオニアメーカーとしての確固たる地位を着実に築き上げてきた。発売初期の面影がほぼ残っていないほど飛躍的に進化しているのだが、その進化を象徴する近年開発した代表的な商品をいくつかここでご紹介させていただこう。

【私のヴィーガン97%植物シュレッド】
 健康志向、環境保護、動物愛護等の観点から、身の回りの衣食住すべてにわたって動物性のものを避ける「ヴィーガン」。欧米諸国に比べると日本ではまだ知名度は高くないが、今後のヴィーガン人口増加を見据え、スティリーノから動物性原料を完全排除、植物性素材に置き換えて完成させた商品。さらに食物アレルギー特定原材料等28品目不使用(ただし、乳・大豆を含む製品と同一ラインで製造)であるため、これらのアレルギーを持つ方々から多くの支持・感謝の声が弊社に寄せられている。ゴーダチーズに比べコレステロールを99%以上カットしている。
 また、ヴィーガンタイプの新商品として、本年3月に「オーツミルクを使ったとろける植物スライス」を発売した。


【コレステロール95%オフ私のモッツァリーノシュレッド】
加熱時に力強く伸びる物性を持つ代表的なチーズと言えばモッツァレラチーズであるが、この「伸びる物性」を再現することに成功したスティリーノがモッツァリーノである。欧米諸国で販売されている多数の代替チーズ商品を見渡してみても、このモッツァリーノほど伸びる物性を兼ね備えた商品は現在のところ見当たらない。一度冷めてしまっても再加熱することで再び伸びる物性もチーズにはない画期的な商品特徴の一つである。
 さらにモッツァレラタイプの新商品として、昨年11月に「のび~るモッツァレラチーズブレンド」を発売した。この商品はモッツァレラチーズ20%とモッツァリーノ80%をブレンドしたシュレッドタイプで、ハードモッツァレラに比べコレステロールを70%カットしている。
 チーズ代替品という位置付けである以上、当然ながらスティリーノが目指す究極の目標は「チーズ」である訳だが、世界中のチーズの種類・風味・物性・製法・食べ方etc.のバラエティの豊富さを考えると、スティリーノの未来には無限の可能性が秘められていると言えよう。昨年のスティリーノ製品の年間生産量は約6000tとなったが、現在のチーズ価格高騰はスティリーノに限れば"追い風"であり、これを機にスティリーノの市場認知度をさらに高め、コストメリットだけではない様々なスティリーノの魅力を発信して皆様の食卓を豊かにするための一助となっていきたい。