雑誌
乳業ジャーナル 2026年5月号(5月20日(水)発行)
チーズ代替品「スティリーノ」最新動向
プラントベースフード特集
1.市場環境の変化と代替チーズの再定義
近年、乳原料価格の高騰やエネルギー・物流費の上昇を背景に、チーズ市場を取り巻く環境は大きく変化している。輸入ナチュラルチーズの価格は高水準で推移し、各食品メーカーにとって原料調達の安定性とコスト対応は従来以上に重要な経営課題となっている。一方で、消費者のチーズ需要は、価格高騰の影響で2022年から2023年にかけて約10年ぶりに減少したが、2024年は回復傾向にあり、需要そのものは底堅い。価格上昇と需要維持という相反する状況が同時に進行している点が、現在の市場の特徴である。
こうした環境下において、代替チーズは単なるコスト対策の代用品という位置づけから脱却しつつある。価格対応や供給安定に加え、健康志向や環境配慮といった要素を包含する素材として、その役割は再定義されている。特にプラントベースフードは、これまでの話題性先行の段階を経て、実際の食シーンでいかに使いやすく、いかに美味しいかが問われるフェーズへと移行しており、現実的な価値を備えた素材が選別される局面に入っている。
2.スティリーノの進化と価値の高度化
このような流れの中で、植物油脂マリンフード株式会社チーズ代替素材「スティリーノ」最新動向と乳たん白を組み合わせたチーズ代替素材「スティリーノ」は、独自のポジションを確立しながら進化を続けている。スティリーノは、乳脂肪の一部を植物油脂に置き換えることでコレステロールを大幅に低減しつつ、チーズらしい物性と風味を維持することを特徴とする。さらに、乳製品に比べ価格変動の影響を受けにくい植物油脂やでん粉といった素材を活用することで、コスト面でも安定した提案が可能となる。
スティリーノの採用は従来より家庭用が中心であり、現在も家庭用が約8割を占めている。日常の食卓で使いやすい形態や価格帯が支持されてきたことが背景にあり、こうした基盤の上で用途の広がりが進んできた。現在までにシュレッド、スライス、ベビーなど多様な形態で数百種類を上市してきている。 近年の開発では、こうした従来の強みに加え、「いかにチーズらしい味わいを実現するか」という点に重点が置かれてきた。原料配合や製造条件の見直しを重ねることで、コクや風味の改善が進み、従来課題とされてきた味質の向上に一定の成果が見られている。これによりスティリーノは、単なる代替素材ではなく、用途に応じて積極的に選ばれる素材へと変化しつつある。
3.ブレンド技術による価値創出
その進化を象徴するのが、ナチュラルチーズとのブレンドというアプローチである。従来の代替チーズはチーズをすべて代替素材へ置き換えることを主目的としていたが、近年はスティリーノとチーズを組み合わ
せることで、双方の特長を引き出す設計が主流となりつつある。ナチュラルチーズが持つコクや風味を活かしながら、スティリーノの持つ価格優位性や健康性、機能性を付加することで、用途に応じた最適なバラン
スを実現する。この「ブレンドによる価値創出」は、代替チーズの新たな方向性を示すものといえる。
家庭用市場においては、このブレンド戦略を体現する商品として「ベビーチーズブレンド」が展開されている。本商品は、チーズの味わいとスティリーノの機能性を両立させたうえで、個包装による手軽さやフレーバー展開による選択性を備えており、おやつやおつまみといった即食用途での需要を取り込んでいる。2026年3月の販売数量は2025年同月比で250%の伸長を示しており、家庭用市場における浸透の進展がうかがえる。ベビーチーズブレンドは、「代替」から「ブレンド」へという流れを象徴する存在である。こうした取り組みの結果、スティリーノシリーズの売上は近年も堅調に推移しており、直近では前年比11%増と伸長している。
4.スライスチーズブレンドの展開と用途拡張
さらに2026年3月には、「スライスチーズブレンド」および「とろけるスライスチーズブレンド」が投入され、スティリーノの用途は一段と拡大した。これらの商品は、ナチュラルチーズとスティリーノを組み合わせたスライスタイプであり、生食用としてサンドイッチやハンバーガーにそのまま使用できるタイプと、グラタンやハンバーグなど加熱用途に適したタイプの双方を展開している。日常的な食卓で使われるスライス形態への展開は、家庭用中心で拡大してきたスティリーノの流れをさらに加速させるものであり、消費シーンの広がりを示す重要な一歩である。チーズと同様の使い勝手を維持しながら、価格面でのメリットを付加できる点は、家庭用市場において大きな意義を持つ。
また、スティリーノの技術を応用した派生商品として、豆乳を用いたシュレッドやスライスといった製品も展開されている。これらは当社で製造しつつ、豆乳メーカー向けのOEM品として供給されているものであり、スティリーノの技術基盤が他カテゴリーへと広がっていることを示している。
5.今後の展望
今後のスティリーノに求められるのは、「チーズに近づける」という発想を超え、「スティリーノだからこそ選ばれる価値」をいかに明確に打ち出すかである。ブレンド技術を軸とした味とコストの最適化、用途別に設計された商品展開、さらには健康性や持続可能性といった付加価値の訴求を通じて、スティリーノは代替素材から独自の食材へと進化する段階に入っている。
代替チーズ市場は今後も拡大と高度化が進むと見込まれる。その中でスティリーノは、単なる代替品にとどまらず、新たな価値を創出する素材として、食の選択肢を広げる役割を担っていくことが期待される。
近年、乳原料価格の高騰やエネルギー・物流費の上昇を背景に、チーズ市場を取り巻く環境は大きく変化している。輸入ナチュラルチーズの価格は高水準で推移し、各食品メーカーにとって原料調達の安定性とコスト対応は従来以上に重要な経営課題となっている。一方で、消費者のチーズ需要は、価格高騰の影響で2022年から2023年にかけて約10年ぶりに減少したが、2024年は回復傾向にあり、需要そのものは底堅い。価格上昇と需要維持という相反する状況が同時に進行している点が、現在の市場の特徴である。
こうした環境下において、代替チーズは単なるコスト対策の代用品という位置づけから脱却しつつある。価格対応や供給安定に加え、健康志向や環境配慮といった要素を包含する素材として、その役割は再定義されている。特にプラントベースフードは、これまでの話題性先行の段階を経て、実際の食シーンでいかに使いやすく、いかに美味しいかが問われるフェーズへと移行しており、現実的な価値を備えた素材が選別される局面に入っている。
国内チーズ総消費量の推移 出典:農林水産省
2.スティリーノの進化と価値の高度化
このような流れの中で、植物油脂マリンフード株式会社チーズ代替素材「スティリーノ」最新動向と乳たん白を組み合わせたチーズ代替素材「スティリーノ」は、独自のポジションを確立しながら進化を続けている。スティリーノは、乳脂肪の一部を植物油脂に置き換えることでコレステロールを大幅に低減しつつ、チーズらしい物性と風味を維持することを特徴とする。さらに、乳製品に比べ価格変動の影響を受けにくい植物油脂やでん粉といった素材を活用することで、コスト面でも安定した提案が可能となる。
スティリーノの採用は従来より家庭用が中心であり、現在も家庭用が約8割を占めている。日常の食卓で使いやすい形態や価格帯が支持されてきたことが背景にあり、こうした基盤の上で用途の広がりが進んできた。現在までにシュレッド、スライス、ベビーなど多様な形態で数百種類を上市してきている。 近年の開発では、こうした従来の強みに加え、「いかにチーズらしい味わいを実現するか」という点に重点が置かれてきた。原料配合や製造条件の見直しを重ねることで、コクや風味の改善が進み、従来課題とされてきた味質の向上に一定の成果が見られている。これによりスティリーノは、単なる代替素材ではなく、用途に応じて積極的に選ばれる素材へと変化しつつある。
3.ブレンド技術による価値創出
ピザなどの用途に応じでチーズらしい味わいを再現
家庭用市場においては、このブレンド戦略を体現する商品として「ベビーチーズブレンド」が展開されている。本商品は、チーズの味わいとスティリーノの機能性を両立させたうえで、個包装による手軽さやフレーバー展開による選択性を備えており、おやつやおつまみといった即食用途での需要を取り込んでいる。2026年3月の販売数量は2025年同月比で250%の伸長を示しており、家庭用市場における浸透の進展がうかがえる。ベビーチーズブレンドは、「代替」から「ブレンド」へという流れを象徴する存在である。こうした取り組みの結果、スティリーノシリーズの売上は近年も堅調に推移しており、直近では前年比11%増と伸長している。
4.スライスチーズブレンドの展開と用途拡張
さらに2026年3月には、「スライスチーズブレンド」および「とろけるスライスチーズブレンド」が投入され、スティリーノの用途は一段と拡大した。これらの商品は、ナチュラルチーズとスティリーノを組み合わせたスライスタイプであり、生食用としてサンドイッチやハンバーガーにそのまま使用できるタイプと、グラタンやハンバーグなど加熱用途に適したタイプの双方を展開している。日常的な食卓で使われるスライス形態への展開は、家庭用中心で拡大してきたスティリーノの流れをさらに加速させるものであり、消費シーンの広がりを示す重要な一歩である。チーズと同様の使い勝手を維持しながら、価格面でのメリットを付加できる点は、家庭用市場において大きな意義を持つ。
また、スティリーノの技術を応用した派生商品として、豆乳を用いたシュレッドやスライスといった製品も展開されている。これらは当社で製造しつつ、豆乳メーカー向けのOEM品として供給されているものであり、スティリーノの技術基盤が他カテゴリーへと広がっていることを示している。
5.今後の展望
今後のスティリーノに求められるのは、「チーズに近づける」という発想を超え、「スティリーノだからこそ選ばれる価値」をいかに明確に打ち出すかである。ブレンド技術を軸とした味とコストの最適化、用途別に設計された商品展開、さらには健康性や持続可能性といった付加価値の訴求を通じて、スティリーノは代替素材から独自の食材へと進化する段階に入っている。
代替チーズ市場は今後も拡大と高度化が進むと見込まれる。その中でスティリーノは、単なる代替品にとどまらず、新たな価値を創出する素材として、食の選択肢を広げる役割を担っていくことが期待される。




