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飛天

平成29年 双頭の鷲~東西の彼方を睨み飛翔する~


飛天

「2017年の漢字 鷲
 鳥の王者、古来より紋章として使われ、ローマ帝国の国章となる。継承するヨーロッパ諸国やロシア連邦、アメリカ合衆国等多数の国章となり現在に至る。今年、米国のトランプ、中国の習、ロシアのプーチン、ドイツのメルケル、イスラム国のバグダディー、フィリピンのドゥテルテ等、世界の『鷲』達はどこへ行くのでしょうか?(とよなかチャンバー 2017年1月号)」

拝啓
 5月末に、EU離脱で揺れる英国の、すぐ西の大西洋に浮かぶアイルランドに行って来ました。乳製品の工場見学が目的でしたので、コーク、ケラリーという地方都市訪問でした。同行のアイルランド人担当者は、教師である妻君と英国のマンチェスター在住とのことです。br />  170年程も前ですから江戸時代末期になりますが、ジャガイモの疫病と英国の苛酷な政策で、100万人が餓死し、300万人が米国等へ移住し、人口が半分に激減しました。当時、米国でアイリッシュと言うと、最貧民層と同義語でした。
 今英国に怨みはないのですか?と言う不躾な質問に、「ない!」と一言答えてくれました。重ねて理由は?の問いに「この20年のアイルランドの成功」と明快です。
 50年前の日本の百科事典にアイルランドは、「ヨーロッパ大陸の西端に位置し、未だ西洋文明の行き渡らない孤島、僻地」と書かれていました。
 2015年の一人当りのGDPは、世界9位(英国14位、日本26位)です。先日発表された修正版では更に上を目ざす勢いです。
 企業への低税率(12.5%)、ケネディー、レーガン、クリントン、オバマなど米国に4000万人(世界に8000万人)はいると言われるアイリッシュ子孫の企業家の帰郷、進出、投資を受け、「ケルトの虎、エメラルドタイガー(大西洋の虎)」と呼ばれる経済成長、輝かしい成功を成し遂げました。一国の盛衰も20年程でこんなに変わるものなんですね。
敬具
 (平成28年夏の「社長挨拶文」より)

拝啓
 11月末から12月初めにかけて、3泊6日の異例の旅程で、米国オレゴン、カリフォルニアを訪問してきました。いくつかの食品メーカーを訪問しながら、同時に西海岸の新しい時代の空気も、少し吸って来ました。
 ドナルド・トランプ氏が米国第45代大統領に選ばれたのは、その経緯からみると驚異です(イノベーション=驚き、だとしたら、今年最大のイノベーションはトランプ氏と言うことになりますね)。
 要人起用のマスコミ報道を見て、ほぼ官僚や学者が占める日本の公的機関のトップの硬直した人事と比較して、全ゆる出身経歴を対象にする豊富な選択肢に、憧憬を感じます。
 これは、ボブ・ディランにノーベル文学賞を与えた、自由自在で柔らかな感性を共通の母体とするものなのでしょうか?(さだまさしやユーミンに芥川賞をあげたい)。
 諸々の発表が、まるで極彩色の人事絵巻を見る思いです。
 とはいえ日本だって、カイロ大学卒業の小池百合子さんが東京都知事になったり、若きカリスマ弁護士の橋下徹氏がかって大阪府知事で大活躍したような地下水脈は、静かに流れ、時に噴水することもあるのです。
 ただ、王貞治さんに日本政府台湾事務所代表、ローマ人の物語を書いた塩野七生さんにイタリア大使、いち早くトランプ氏と会談したソフトバンクの孫正義さんにアメリカ大使、を委嘱するようなダイナミズムには程遠いようです。
 年の瀬、はて今年はどんな年だったのか?たった一年の歴史が、一陣の風が通り過ぎ、遥か彼方へ去ってしまったように、朧げで頼りないことに胸打たれます。
敬具
 (平成28年々末の「社長挨拶文」より)

「人間は誰でも本来、何事をも、自分が深く思い考えた通りに成すことが出来る。自分がもし出来ないと思えば何事も出来ないし、出来ると信念すれば、何事をもなすことが出来る。つまり、すべてが、自分が自分自身に課した信念のとおりになる。」
(中村天風「成功の実現」より)

 400年前のスペインの作家セルバンティスが書いた『ドン・キホーテ』という作品がある。痩馬にまたがり、騎士道を信じ、風車に向って突進するドン・キホーテの物語が語り伝えられるのは、その夢が非常識なものであるにもかかわらず、あくまで美しいからである。600年前、世阿弥は『花伝の書』を著わし「舞は能を源としているが、その舞には花がなければならない」と伝えている。6代目尾上菊五郎は、生涯踊り続けた人生の最後に及んでなお「まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで」と辞世の句を詠んだ。

 「食品産業技術功労賞をいただき、ありがとうございます。受賞の一報を聞いた時、担当の記者さんにところで受賞の理由はなにかと伺った。答えは国際部門といわれ耳を疑った。正直に申し上げて当社の国際部門は悪戦苦闘の真最中です。4年半前に国際課が発足して以来、国際関係のビジネスにチャレンジし続けているが、なかなか成果が出ない毎日を過ごしている。
 先般もある国にチーズやバターを輸出したいと公的機関に出かけたところ、『それは無茶だ』と言われ、心が折れそうになった。そんな毎日を続けているが、たまに折れそうな心を支えてくれる出来事がある。
 例えば、今年のゴールデンウィークに、タイの王女がお忍びで来日された。そしてバンコクで食べた日本産のチーズのパッケージを見せて、これを探して欲しいと大使館員に依頼された。我々のチーズをご指名していただいたことは、非常に光栄なことだった。また9月にアメリカのフロリダ州のレストランショーに出展したとき、現地の新聞記者達の投票によって私どもの燻製バターが特選品に選ばれ表彰された。10月にはモスクワの展示会に出品したところ、スプートニクという通信社に『遠い日本から来たチーズメーカー』という記事を書いてもらった。
 そして今回、食品産業新聞社からこのような素敵な賞を戴いた。心が折れそうな毎日だが、この賞の受賞でもう暫く続けられそうな気が湧いてきました。弊社には、容易な仕事ではないが、心を支えてくれる出来事があればこそ、続けていける。またこの賞に恥じない成果をぜがひでも上げていきたいと改めて念じています。本日はありがとうございました。」
(食品産業新聞 2016年12月1日号)

『変なホテル』へようこそ
 ハウステンボスにロボットを大量に使った『変なホテル』がオープンして1年余り。ヒトのおもてなしが当たり前だった既存のホテルで当初は『客寄せパンダ』と冷ややかな目が向けられていたが、顧客の評判はまずまずで、業界最高水準の収益を上げている。不思議さをまとうイーグルスの名曲、『ホテル・カリフォルニア』風に表現すれば、『変なホテルへようこそ。なんてステキなロボ接客』という感じだ。
 10月、変なホテルを訪れた。出迎えたのは恐竜のロボと女優のロボ。記者の顔を見るなり、『マイクに向かってお名前を言ってください』と言う。言われるままに名前を告げ、チェックイン。宿泊台帳を記入するよりずっと楽だ。
 従業員の姿は見当たらない。精算機で発券されたカードを持って客室に向かう。客室の扉についたカメラに顔を登録し、カメラを見ると鍵が開いた。
 部屋に入るとチューリップをモチーフにした背丈30センチの『ちゅ~り~ちゃん』がベッド脇に座っている。時間や天気などを教えてくれる万能"コンシェルジュ"だ。
『加速度的に進化を遂げるロボットと変化の速度が緩やかな建築。時間の流れが異なる。この2つを融合させて新たな価値を示すことが最も難しかった。』(建築家・東京大学准教授の川添善行氏)
 宿泊客10人に『非常に良い』『良い』『普通』『悪い』の4段階で評価してもらったところ、8人が『良い』、2人が『非常に良い』と回答した。
『客室平均単価は2万円前後。フロントのロボットは当初、日本語だけだったが、英語、韓国語、中国語を使えるようになった。世界初のロボットホテルとしてギネス世界記録に近く認定される見通しだ。わずか144室の小さなホテルだが、年5億円前後の利益を出せるだろう。投資利回りは20%にもなる。今後国内外で100軒にする計画がある。』(沢田秀雄社長)

 事業の繁栄発展の究極は、たった二つのコンセプトから成り立っている。
 一つは成長拡大させること。もう一つは安定させることである。この二つの哲理を同時に戦略課題とし、実行して、はじめて繁栄発展が起こる。二つのうち、どちらかの一つが欠けても事業の繁栄発展はあり得ない。


 私達の携っている食品ビジネスは、バブル経済はもとより、家電、電子業界や、情報、通信、自動車、アパレル、住宅産業と比べても、限りなく地道でローテク、保守的な産業です。おふくろの味つけを好む性向は、かつて食べたことのない食品の出現を阻み、ファッションや趣味に比べて、生涯最も変わることのない嗜好性だと言われている。しかしひとたびお客様に我社の商品を注文していただければ、それを縁に何回でも幾年も変わらぬお取引をして頂ける。
 更に、私は食品ほど可能性に溢れた仕事もまた、他に類を見ないと信じる者です。日本の食品の市場規模は80兆円です。自動車が10兆円。住宅産業で25兆円です。ダントツに食品業界の規模は大きいのです。世界に目を転じると、約1500兆円。これが2050年になると3000兆円になると推定されています。目の眩む規模です。我々全べてに無限の可能性が秘められています。

 私達は、宇宙の悠久の歴史の中で、運命の悪戯から、同時代に生まれ、マリンフードで働いています。
 しかし、状況は必ずしも楽天的ではありません。この環境の激変に耐え、激しい競争に生き残り、目標にチャレンジし、売上や利益が順調であり続ける事ほど企業やその社員にとって幸福なことはない。そんな会社を、未来につながるナイスカンパニー、エクセレントカンパニーを創り上げることが出来れば、その原動力となることが出来れば、偶然に入った会社、偶然に出会った運命の中で、一回きりの私達の人生が、どんなに輝いたものになるだろう。

 今日もHPにお客様からのメールが届きます。
「大ファンです!愛知県からふれあいセールには本社まで足を運ばせてもらい、クーラーボックスを持ってたくさんのチーズや冷凍のピザ、ホテルのパンケーキなど、いつもお友達の分まで買って帰ってしまいます。」
「牛くんがすごくかわいいです。燻製バターをいただきました。私は好きすぎて1粒を丸々口の中に入れてしまうほどです。食べたことのない方にはぜひ食べて欲しい逸品です。」
「ヴィーガンシリーズとても素晴らしい商品だと思いました!本当に存在していて驚きました。体に良く、安心して食べることが出来ますね。是非購入します。」
「いつもムービー楽しそうでいいですね。私もムービーにでてみたいと思いました。プレゼントも多く、商品も個性的で、とても惹きつけられる会社です。」

 今年で事業発展計画発表会は31回を数える。この間の成果は、まるで遅々とだらだら坂を登る歩みであった。そして今年、創立60周年の節目に、我々は『双頭の鷲?東西の彼方を睨み飛翔する?』と言う新しい標語を押し立てて船出した。

 私は大いなる願望(マリンドリーム)達成に向い、ひたすら精進し、方向を決定し、理念を固め、誠意をもって、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、実行する。


  平成29年1月28日
取締役社長 吉村直樹