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飛天

令和3年 黄金の騎士~生は戦いなり~


飛天

『2020 年の世相』
 コロナに明け、世界が闇に覆われ、安倍長期政権が終幕を迎え、最中で大坂なおみというスターが誕生し、米国大統領選で終わった一年であった。個人的には、ホテルの宿泊名簿の我が年齢をつくづくと眺め続け、来し方、行く末(過去未来)に思いを馳せる一年となったが、少しは精気を奮い立たせ、少年の頃の大志を想い出そう。」

『2021年の漢字』
 漢字学者の阿辻哲次氏によるが、手に持った肉を地上に舞い降りた神に捧げているさまを表す漢字とのこと。月は肉、又は手、示すは空から降りてきた神が地上にとどまるときに拠り所とするテーブル。コロナ禍からの解放を祝う年でありたい。村祭り、夏祭り、豊年祭、フェスティバル。それだけで、何故かワクワクしてくるなあ。」
(とよなかチャンバー 2021 年1月号)


「拝啓
 しっかり老いの坂を登っています。突然コロナ禍が世界を襲ったこの半年、その対応で走り回ったり、自宅で籠ったりしながら映画も観続けています。
 年間150 〜 200 本ペースでしょうか。30 〜 60 歳代は、現業以外に余裕もなく、ほとんど観て来なかったせいもあり、このまま頑張って観ても生涯に精々 3000 本位です。
 淀川長治さんや池波正太郎さんなんかは1万5千本内外観たんじゃないかと想像してますが......。それでも、映画が出来てから100 万本前後製作されているはずですから、我々に出来ることは、たかが知れてます。
 観た映画へのコメントは手元の備忘録(ガラケー)に、総順位と、わずかなコメントを書きます。ボクは結局日記を続けられなかった人間ですが、携帯iモードには自然にメモります。スマホでLINE やゲームをやる世界とは無縁ですが、開発した松永真理さんには感謝の言葉もありません。
 最近朝起きてスクワットを始めました。昨年二回ぎっくり腰をやったり、余りに体力の衰えを自覚したせいです。5分もかかりませんが、喘ぎながら続けてます。
 別に、月二回位骨盤調整の先生にも通っています。勝手に「仁川の梅安」と呼んでいます。もう15 年以上になります。ぎっくり腰はここで治してもらったし、以前頭痛持ちだったのが消えています。ゴルフ由来の腰痛も治まっているようです。沢山のマッサージ師にお願いしましたが、大腰筋を刺激するのは、この先生だけです。
敬具」
(令和2年夏の「社長挨拶文」より)


「『飛行船』
和蘭奇巧思超然  和蘭(オランダ)の奇巧 思い超然。
重載穏浮霄漢船  重載して穏に浮かぶ、霄漢の船。
吐納有風随槖籥  吐納(息を吐く)風あり 槖籥(ふいご)に随う。
往還無水在雲烟  往還水無く 雲烟を度る。
乍疑萬里遙飛鷁  乍ち疑う 万里遥かに鷁(想像上の水鳥)飛ぶかと。
不羨太虚輕歩仙  羨まず 太虚(万物の根源) 軽やかに仙(仙人)歩むを。
我巳多年懐帝座  我巳に多年 帝座(星座)を懐う。
駕夾縹緲欲朝天  駕し来たって縹緲(はるか遠くまで)天に朝せん(向かって行く)と欲す。
  (七言律詩)
〔飛行船の序文〕
『オランダ人が飛行船の図を奉行に献じた。空中に浮ぶ大船の如くして、フイゴによって風を送れば浮かび、風を洩らせば降りる。傾覆墜落のおそれがない。自分(迂斎)は最近これを見たが、その機関の巧妙なること千古無比だ』」
(「吉村迂斎(父の高祖父:1749 年〜 1805 年・長崎の人)詩文集」より)


「昭和47年頃、北大のクラーク会館の地下にエルムという小さなスナックがあり、そこのママから『風に吹かれて飛んで行ってしまいそう』と言われた。確かに現在より20 キログラムも痩せていて、髪も長く、当時の写真を見ても自分で誰だか分からない。
 このままでは卒業も覚束ないから、文系に転部しようと各種の情報を頼りに文学部のインド哲学科に申し込んだ。三人の教授、助教授相手の面接試験で『君本気?』と聞かれて何も答えることが出来なかった。
 一方で、欧州放浪時、日本への無知を痛感したので、茶道裏千家の門を叩いた。二年後の正月、北海道神宮での初釜手前に指名された。京都家元の高弟が来道し、北海道中の裏千家師匠が集まった広間の中央に、茶室が組まれた。高い座敷の上での手前は壮観だった。
 同伴のアメリカ人男性が緊張の余り、手が震えて茶碗を倒しお茶が畳に飛び散った。一瞬 会場が凍りついた。反射的に高弟を見ると、片付けなさいと手を振る。瞬間にじり寄って懐紙を手に片付け元に退いた。
 終って師匠から有り難うと言われた。後日話があると呼ばれた。『京都の家元に弟子入りする気はないか』と訊かれた。ふらふらと行方知れぬ生活を送っていた訳だが、流石にそれはお断りした。」
(ほほづえ104 号2020 年4月号より)


「人間は誰でも本来、何事をも、自分が深く思い考えた通りに成すことが出来る。自分がもし出来ないと思えば何事も出来ないし、出来ると信念すれば、何事をもなすことが出来る。つまり、すべてが、自分が自分自身に課した信念のとおりになる。」
(中村天風「成功の実現」より)


キッシンジャーが理想主義者から現実主義者になった瞬間はこれだ、と言うことはできない。歴史家のジョン・ギャディスは、理想主義と現実主義を『電荷のプラスとマイナスのように捉えるべきではあるまい』と言った。あれかこれかではなくて、一定の幅のあるスペクトルの両極端と見なすべきであり、状況に応じて人はどちらかに寄りながら行動するのだという。
『中には、生涯を通じてどちらかの電極に引きつけられる人もいる。その一方で、一方に引かれたかと思えば反対に引かれたりする人もいる。そしてまた中には、第一級の知性を持ち合わせている人もいるだろう。第一級の知性とは、二つの相反する考えを同時に持ちつつ、しかもきちんと働く知性であり、人生の予期せぬ出来事に遭遇しても適応できる知性である。これが戦略の真髄ではないかと私は考えている。言い換えれば、長期的な目標と短期的な臨機応変とを調和させられる能力だ。あるいは、映画〔リンカーン〕の中でリンカーンが下院議員のタデウス・スティーブンスに言ったことだが、自分自身の方位磁石に従っていれば沼にはまり込むことはない、とも言える』」
(ニーアル・ファーガソン「キッシンジャー」)


マリンフードに4つの「企業大方針」がある。

Ⅰ.コア・コンピタンス(核の力)
重点主義、集中、差別化を標榜し、ナンバーワン、オンリーワンをたくさん作り磨きあげる。そして存在意義を明確に持つ。

Ⅱ.カスタマー・フォーカス(お客様第一主義)
会社の真の支配者はお客様である。我社の存亡はお客様の手に委ねられている。社内の体制が全べてお客様に向って開かれていなければならない。

Ⅲ.スピード(速さ)
IT化とは革新的なスピード化ということだ。スピード化とは心と頭の中で決まる。優先順位の決定とスケジューリング(計画表の作成)と今すぐ立ち上がる行動力だ。今日出来ることは明日に延ばすな。たった今始めよ。

Ⅳ.マネジメント・バイ・ワンダリング・アラウンド(経営は歩き回りながら)
得意先を、市場を、工場を、他工場を歩き廻る。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じ、思考しながら歩き廻れ。現場は宝の山だ。金鉱を掘り当てよ。開拓者精神で未知と遭遇せよ。


 400 年前のスペインの作家セルバンティスが書いた『ドン・キホーテ』という作品がある。痩馬にまたがり、騎士道を信じ、風車に向って突進するドン・キホーテの物語が語り伝えられるのは、その夢が非常識なものであるにもかかわらず、あくまで美しいからである。600 年前、世阿弥は『花伝の書』を著わし「舞は能を源としているが、その舞には花がなければならない」と伝えている。六代目尾上菊五郎は、生涯踊り続けた人生の最後に及んでなお『まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで』と時世の句を詠んだ。

 私達の携っている食品ビジネスは、バブル経済はもとより、家電、電子業界や、情報、通信、自動車、アパレル、住宅産業と比べても、限りなく地道でローテク、保守的な産業です。おふくろの味つけを好む性向は、かつて食べたことのない食品の出現を阻み、ファッションや趣味に比べて、生涯最も変わることのない嗜好性だと言われている。しかしひとたびお客様に我社の商品を注文していただければ、それを縁に何回でも幾年も変わらぬお取引をして頂ける。
 更に、私は食品ほど可能性に溢れた仕事もまた、他に類を見ないと信じる者です。日本の食品の市場規模は100 兆円です。自動車が10 兆円、住宅産業で25 兆円です。ダントツに食品業界の規模は大きいのです。世界に目を転じると、約1500 兆円。これが2050 年になると3000 兆円になると推定されています。目の眩む規模です。我々全べてに無限の可能性が秘められています。

 今日もお客様からのメッセージが届きます。
「プレゼン大会の動画を拝見させて頂きました。優勝を目指す皆さんの姿と見事に三連覇を果たしたKさんの努力に、感動と力をもらいました」。
「初詣参拝の様子や正月遊びをされる社員の皆さんの様子が見ることができ、その様子から職場環境の良さをとても感じられます。「マリンフードの商品がとてもよい商品だ」と伝わるものでした」。
「ヴィーガンシリーズには驚きました!誰でも安心して食べられるものを作ってくれていて、まさに世界を変えてくれそうだなと思います!」。
「友人から『燻製バター』を教えてもらい、それからこの商品の虜になっています。これを使うだけで味に深みが出て本当に美味しくなります」。
「関東進出埼玉工場、祝です。関東のファン様の需要を担う拠点!これが御社の成長の一つとなるような気がします」。
「ブラジルからはるばる滋賀県長浜に来られて一生懸命働いているお二人。感動して何度も何度も拝見しました。自分も頑張ろうと奮起する気持ちになりました」。

 今年で事業発展計画発表会は35 回を数える。この間の成果は、まるで遅々とだらだら坂を登る歩みであった。そして、我々はコロナ禍の中「黄金の騎士〜生は戦いなり〜」という新しい標語を押し立てて船出した。

 私は大いなる願望(マリンドリーム)達成に向い、ひたすら精進し、方向を決定し、理念を固め、誠意をもって、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、実行する。

令和3年1月30日
取締役社長 吉村直樹