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飛天

令和5年 新・大航海時代~未知の国、嵐の中へ~


飛天

『2022年の世相』
 ウクライナ戦争、諸物価暴騰、数十年ぶりの円安。安部元総理の暗殺と統一教会騒動。お粗末な政治家達と政府の低支持率。大谷の凛々しい活躍と女子ゴルフの盛況。不思議な英国首相達と故エリザベス女王人気。米国と中国の存在感。日本の防衛政策の新しい空気。一昨年から続く一年ではなく、独立して存在する孤高の一年。」
(とよなかチャンバー2023年1月号)


「拝啓
 今年5月に久方振りに函館へ行く機会がありました。一泊して翌日は帰阪ですが、飛行機は午後発。いい機会なのでタクシーを呼んでもらい、市内を観光することにしました。津軽海峡は、かって連絡船で25回位渡っているのに、函館市内観光は初めて。
 五稜郭タワーに上ったり、旧相馬邸を訪ねてみたり、トラピスト修道院に立ち寄ったりした後、海峡の見える丘に登ってみました。運転手もついて来た。青函トンネルが出来て今は連絡船がないんだなぁ、と呟きながら漁船なんかを見ていたが、ボクが何気なく、大昔に(50年前)一度だけこの海峡を横に渡ったんだ、と言った。彼は何も言わなかったが、明らかに眼差しが尊敬の色に変ったように思った。錯覚だったかな。彼は何だと思っただろう。
 札幌オリンピックが始まる前年の12月初め、年の離れた異母姉の見送りを受け、横浜から船に乗って、津軽海峡を横断。日本海の波は激しく、朝食のレストランにはボク以外誰も出て来なかった。ほうほうの体でナホトカに辿り着き、ハバロフスクまで(16時間)不味い黒パンを齧る鉄道の旅を経て、飛行機で(8時間)モスクワまで飛んだ。当時欧州への最も安い(11万円)ルートだった。ソ連崩壊後、今このルートは廃止されたらしい。
敬具」
(令和4年末の「社長挨拶文」より)


「スターウォーズにしても、ジュラシックパークにしても、無邪気にかつ緻密に技術の粋を凝らして作られているが、歳をとって来ると、人間のドラマこそ観たい。
 映画は娯楽だと言い切った日本映画界の貴公子、津川雅彦の発言には諸手を挙げて賛成するが、何が娯楽かと言うと、これは人生を経て変わらざるを得ない。
 津川は四年前に、妻朝丘雪路を追うように七十八歳で他界したが、映画界の名門マキノ一家の殿下だった。「日本映画界の父」と称された牧野省三は祖父。父は歌舞伎役者の澤村国太郎。保守の論客でもあり、新聞記者を目指した彼を映画界に引っ張り出したのは石原慎太郎だった。また石原の妻典子も、慎太郎の死の一ヶ月後、追うように永眠した。映像の魔術師と呼ばれたフェデリコ・フェリーニの妻カシーナの死は四ヶ月後だった。
 人生の初期、宇宙を股にかけて展開するストーリーに堪らなく胸がときめいた。だが宇宙人は未だに影も形も登場しない。何故、技術の枠AIの限りを尽くして宇宙に高度な生命の痕跡を見つけられないのだろう。現在の調査研究は宇宙全域の何%をカバーしているのだろう。宇宙戦争やエイリアンは、永遠におとぎ話に過ぎないのだろうか。」
(ほほづえ115号1月号より)


「『匍匐前進』
 この頃(1998年・42期)、ようやく新製品開発が諸に就き、過去5年間の新製品が全売上の30%シェアを初めて越えた。翌1999年の事業計画書である。
 競合メーカーの幹部がパーティーの席上で、『ガーリックマーガリンは御社の独壇場ですね、素晴らしいすき間市場を開拓された。敵はいないじゃないですか』と囁いた。外資系食品企業の会長が『吉村さんの発表した〔100年後のチーズ需要〕を新聞で読みましたよ。』と近づいて来て『家内が御社のガーリックマーガリンの大ファンですよ』と告白してくれた。テレビ朝日で浜村淳、当社の〔オリーブ&ガーリックマーガリン〕について、『香りが素晴らしい。こんなに美味しいものだとは思わなかった』と激賞してくれた。イトーヨーカ堂のバイヤーが銅板焼ホットケーキについて『こういう付加価値のある製品を他のメーカーも開発してください』と宣伝してくれた。流通商社の営業マンが『マリンフードは素晴らしい商品を持っている。あとはいかにプレゼンテーションするかだけだ』と感心してくれた。事業計画作成の指導を頂いた経営コンサルタント集団を率いる理事長からその著書の中で、『吉村社長は見事な状況判断である。実行力も優れている』と過分な言葉を頂戴して激励していただいた。」
「1999年には、今につながるHP(ホームページ)が開設。2003年に初めての会社案内ビデオが制作された。この作品完成後、日本産業映画協議会主催、文部科学省・経済産業省・毎日新聞社後援の『日本産業映画ビデオコンクール』の存在を知り応募した。当年が第41回目だったが、いきなり『奨励賞』を受賞した。同時受賞に、サッカーW杯札幌会場とハワイに日本が建設したスバル望遠鏡の記録映画があった。
 ビデオは現在(2022年)第三次が放映され、その他多彩な映像を提供している。
 更に2006年には全社指名提案制度が始まり、現在(2022年)は年間1,500件内外の改善提案が上がっている。全社員(正社員、準社員)が20の職場単位にグループ分けされ、受命者は2ヶ月間で正社員は4件、準社員は2件の提案(問題点の指摘)提出が義務づけられ、4年に1度回って来る。他に新人研修、一般社員研修でも問題点の提出が必須課題となっている。
 提出された問題点は一件ごとに解決者が指名され、基本的に二ヶ月以内に解決策が提出される。これを毎月のPJ会議で検討し諾否が決まる。差し戻しの数は少ないが、2回続けば解決者が変更される。」
(2022年社内報12月15日号)


「人間は誰でも本来、何事をも、自分が深く思い考えた通りに成すことが出来る。自分がもし出来ないと思えば何事も出来ないし、出来ると信念すれば、何事をもなすことが出来る。つまり、すべてが、自分が自分自身に課した新年のとおりになる。」
(中村天風「成功の実現」より)


「キッシンジャーの『至言』
①立場上の無形の利得より有形の利得を好むことこそ、凡人の凡人たる所以である。
②矛盾の連続は哲学者にとっては興味深くても、政治家によっては悪夢である。政治家はそれについて考えるだけでなく、解決しなければならないからだ。
③想像性のない人間にとっては、あらゆる問題はどれも等しく難しいと同時に、等しく易しい。
④おだやかな海で針路を決めるほうが、大嵐の海で針路を定めるよりむずかしいかもしれない。自然の猛威は、生き延びるための創造性を与えるからだ。
⑤国民の熱情は、交渉においては危険な要素になりうる。というのも駆け引きの最も効果的な武器である選択の自由を交渉者から奪うことになるからだ。
⑥戦争はそれ自体としての正統性を持っており、その正統性とは勝利であって講和ではない。全面戦争のさなかに講和の条件を口にすることはほとんど冒涜であり、あさましい計算ずく同然に見える。
⑦外交における完璧な柔軟性という考え方は、素人の幻想にすぎない。あらゆる偶発事がどれも等しい確率で起きるとの前提で政策を立案するのは、政治指導者の仕事を数学と混同している。起こりうるあらゆる出来事に備えることは不可能であり、敵が完璧な柔軟性を備えていると仮定すれば、こちらは行動不能に陥ることになる。国力というものは、国家の相対的地位に依存するのだ。

(ニーアル・ファーガソン「キッシンジャー」)


「愛知県に3~9桁と1桁の掛け算を1~2秒で即答できる男性がいる。この男性を30年近くでみてきた神野秀雄・愛知教育大教授は、人並みはずれたこの計算能力の正体を『記憶』と見る。『計算にしては反応時間が短かすぎる』からだ。記憶としても驚異的だ。『9桁×1桁』の問題は90億通りある。
 次郎丸睦子・聖徳大教授は1999年6歳の男児に出会った。4歳でピアノを始め、幼児向けの『アイネクライネ・ナハトムジーク』を一度聞いただけで弾きこなした。3週間後の演奏会。楽譜に見向きもせず、母親が前夜に聞かせたCDの曲を弾いた。
 『サヴァン』― 電光石火計算、再現演奏など狭い分野で得意な才能を発揮する人々をこう呼ぶ。これらの才能は孤立しており、創造性の発露は見られないのが普通だ。アラレ・スナイダー豪シドニー大教授は『人はみな同様の能力を潜在的に持つが、普段は封じ込めている』とみる。サヴァンの場合は障害のため鍵が外れ、脳がのみ込んだ情報を抽象も取捨選択もしていないナマの状態で出し入れできるというわけだ。ニコラス・ハンフリー英ロンドン大教授は『進化の過程で人類はサヴァンのような能力を積極的に放棄した』と考える。人類は集団を形成するようになったが、社会生活を送るうえで『あまりに大きな能力』はかえって邪魔になる可能性がある。人類は、より抽象的で総合的な言語能力、対人能力を優先させたと言うのだ。」
(2008年「事業計画書」)


「マリンフード
 『創業130年、大方針は①核事業に集中、②スピード、③顧客第一主義、④現地現場主義』
 父親が亡くなり会社を継いで、事業が停滞。直樹さんは厳しい訓練で知られる研修に参加し、それが新たな出発となった。以来30年以上事業計画を毎年つくり、長期と短期の視点で会社を動かしている。
 『毎年が戦場を歩く兵士の気分です。どこから弾が飛んで来るか分からないし、地雷を踏むかも分からない。怖がっていては仕事にならない』。
 新製品づくりに積極的に取組み、年に200品出しています。売上げの65%は過去5年以内発売の製品です。近年の売れ筋はチーズ代替品『スティリーノ』や、あらゆる料理に使える『クッキングモッツァレラ』など。......他に営業は全セールスが毎月180軒の顧客訪問を実行し、年間150社のお客様を工場に招き、種々の議論をしています。各工場部門とのプロジェクトも二週間に一回開催し、年に1,000件以上ある改善提案は一ヶ月に一回のユニットでPJ処理しています。
『どんな将来が来るか分からないが、わくわくしながら走りたい』。
 人や形を変えながら続いてきたマリンフードは『事業計画』を羅針盤として、世代を超えて日々変化成長を目指している。」
(石垣 2018年12月号)


 400年前のスペインの作家セルバンティスが書いた『ドン・キホーテ』という作品がある。驢馬にまたがり、騎士道を信じ、風車に向かって突進するドン・キホーテの物語が語り伝えられるのは、その夢が非常識なものであるにもかかわらず、あくまで美しいからである。600年前、世阿弥は『花伝の書』を著わし「舞は能を源としているが、その舞には花がなければならない」と伝えている。6代目尾上菊五郎は生涯踊り続けた人生の最後に及んでなお『まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで』と辞世の句を詠んだ。

 今日もお客様からのメッセージが届きます。
「『牛沢直樹7話』を拝見させて頂きました。ストック大王にやっと出会え、融資も決まり、ずっと拝見させて頂いていた私は『ほっ』としました。」(大阪府 K.M.)
「SNSで話題になり知ったマリンフードさんですが、HPを見てびっくり!あの大人気ドラマの熱さそのままで美味を求めてすすむ姿(笑)や、社員さんたちの情熱が溢れすぎなムービーの数々に、大ファンになってしまいました。」(愛知県 M.T.)
「フレンチトーストのマーガリンって、どんな味だろうと思って食べたら、甘い卵の風味が伝わり、まさにフレンチトーストそのものでした。トーストの中にも染み込んで、あっという間に食べてしまいました。それから、毎日朝はフレンチトースト。」(大分県 T.Y.)
「今まで見たことのない『うにバター』がとても気になり、動画を見てビックリしたのは、料理に入れるバターの量!ものすごく魅力的!見てるだけでよだれが垂れてくるようなお腹が空く映像でした。」(千葉県 S.K.)
「泉大津工場の熱い情熱!私が大好きで欠かすことのない『かけるちーず』の製造工程が見られたのも嬉しいです。品質管理、機械の故障やメンテナンスまで。美味しく高品質な理由を見た気がします。」(富山県 N.T.)

 今年で事業発展計画発表会は37回を数える。この間の成果は、まるで遅々とだらだら坂を登る歩みであった。そして昨年、原料暴騰の嵐が我々食品業界を襲った。高波が天を覆い隠す勢いの中を「新・大航海時代~未知の国、嵐の中へ~」と銘打って船出した。

  私は大いなる願望(マリンドリーム)達成に向い、ひたすら精進し、方向を決定し、理念を固め、誠意をもって、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、実行する。

令和5年1月28日
取締役社長 吉村直樹