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飛天

平成8年 「七変化・ドリームズ・カム・ツルー」

- 飛  天 -
(平成8年事業発展計画書より)

「『核になる技術だけは自分で開発する。(月島機械社長黒板行二)』「自らの側の発想から、需要家の発想へ。発想の立脚点を変えることで、過去からの流れを断ち切った。(不動建設会長式村健)』『ポストラーメンは何かと聞かれれば、ラーメン、と答える。やはリコメとパンと麺というのは食品の基礎部分です。これからもっと価値を持つでしょう。今でも、ラーメンは毎日試食しています。私はどこから切ってもラーメンかもしれません。(日清食品社長安藤宏基)』『生産設備は、ほとんどが社内で開発した独自の機械だ。ある時、外部メーカーに発注した機械が完成した。ところが外部メーカーの社員が工場内に入るのを嫌い、わざわざ自社のトラックを高速道路のサービスエリアに向かわせて、そこで機械を受け取った。(村田製作所)』
『新しい発見によって世界観が覆された場合に科学者が直面する苦悩は今日の経営におけるジレンマにも当てはまる。今日の管理職は、脅威を感じ、苛立っている。彼らの多くが、経営についての新しい考え方を口先では称賛するが、ストレスがかかると、昔ながらの居心地のよい経営手法に逆戻りする。............
 時代が混乱していることは間違いない。もっとも21世紀にエクセレント・カンパニーになると思われる組織のモデルはすでに散見される。プロクター・アンド・ギャンブルのオハイオ州ライマエ場、大手機能性プラスチックメーカー、AESのコネティカットエ場がその一つだ。
 いずれの工場でも、自発的なチームが仕事の中心だ。個々の社員の仕事は明確に定義されていないし、仕事の間に明確な境界線もない。チームは、チーム内や別のチームと頻繁に集会を開く。一つひとつのチームを絶えず流動的な状態に保ち、必要に応じて編成を変えていく。問題をその場で解決するために、その問題の性格に応じて、メンバーを入れ替えるのである。1日のうちでも、同じ人が生産ラインで仕事をした後で、チームの他のメンバーを監督し、その後、メンテナンスや品質改善など別の特別プロジェクトチームを指導するというようなことが普通に行なわれている。.........世界で最も革新的な大手医薬品メーカーとされているメルクの創造性は、大小の暫定的なチームを管理する能力にあるといわれている。メルクに代わって、米国で最も称賛される会社のランキングのトップに躍り出た家庭用品メーカーのラバーメイド社は、昨年365の新製品を開発した。ラバーメイドの革新性も、プロジェクトチームやタスクフォース(特別編成部隊)の巧みな運営によるものとされている。......
 おそらく現在の時点で、2000年のエクセレント・カンパニーの称号を与えられる企業はないだろう。しかし、新たなエクセレント・カンパニーのいくつかの側面は、今までの企業に見ることが出来る。変化が私たちをどこに連れていくのか、まったく理解できないわけではないからだ。......
 習慣を変えるのは時間がかかり、腹立たしく、そして容易でない。これが次の世紀にエクセレント・カンパニーになろうとする企業の大きな課題だ。ほとんどの企業にとって、この目標に到達するのは極めて困難だと思われる。だからこそ、これは大きなチャンスでもある。今からスタートして、すでに周囲にあるモデルに真剣に注意を払い、そして変化の過程を一貫して続けていく企業。これこそが、2000年に超エクセレント・カンパニーと呼ぶにふさわしい企業となるだろう。("エクセレント・カンパニー″のロバート・ウォーターマン)』

 400年前のスペインの作家セルバンテスが書いた『ドン・キホーテ』という作品がある。痩馬にまたがり、騎士道を信じ、風車に向って突進するドン・キホーテの物語が語り伝えられるのは、その夢が非常識的なものであるにかかわらず、あくまで美しいからである。
 600年前、世阿弥は『花伝の書』を著わし、舞は能を源としているが、その舞には、花がなければ舞にはならないことを伝えている。
 6代目尾上菊五郎は生涯踊り続けた人生の最後に及んでなお『まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで』と辞世の句を詠んでいる。

 事業の繁栄発展の究極は、たつた二つのコンセプトから成り立っている。一つは成長させること。もう一つは、安定させることである。この二つの哲理を同時に戦略課題とし、実行して、はじめて繁栄発展が起こる。二つのうち、どちらかの一つが欠けても事業の永遠の繁栄発展はあり得ない。

 私達は、全くの偶然に、運命の悪戯から、同時代に生まれ、マリンフードに働いている。食品産業に従事している。
 食品事業は、バブル経済はもとより、家電・電子業界や自動車、住宅産業と比べても、限りなく地道で保守的な産業だ。おふくろの味つけを好む性向は、かつて食べたことのない食品の出現を阻み、ファッションや趣味に比べて、生涯最も変わることの少ない嗜好性と言われている。
 しかし、ひとたびお客様に我社の商品を注文していただければ、それを縁に、何回も、幾年も変らぬお取引をして頂ける。実に恵まれた事業でもある。
 お客様との長い信頼関係を、われわれの努力で築いていける。五年でも、十年でも、五十年でも、百年でも、限りない長い信頼関係を築いていけるのである。
 だからこそ、我社にとって、長く信頼して頂ける新しいお客様を開拓することは、最重要な課題なのです。
 この重要な新規開拓のために、われわれは全営業力を投入し、生産体制の全てを顧客志向にしなければならない。全社員が、いつも、いつも研鑽しながら、他社を意識し、競争相手よりも良い物、新しい物、優っているものを武器にして新しい顧客を獲得すべきだ。

 生後間もなく突発性脱疸によって、両手両足とも肘、膝関節を切断した中村久子さんという女性がいる。結婚すること四度び、三児(一人は死去)をもうけ、七十二歳の生涯を全っとうされ二十年以前に他界された。――ヘレン・ケラーから「私より不幸な人、そして私より偉大な人」と言われた久子さんは、生前、一円の金も国家の恩恵にすがることはなかった。自分のパンは自分でかせぎ出すところに人間の尊厳が生れる。そしてその滋味の金で二人の娘をそだてあげ、充分な教育をつけて世に送りだされた。生涯の大半を見世物小屋で過ごされた久子さんの芸は、お母さんの厳しい躾のたまものでした。「ハサミを持つことは自分で考えてやること。考えてやんなさい」「ぼんやりしないで、麻でもつないでごらん」「できるまでやってみることです。やれないのはやってみないからです」。久子さんはこうして、日だけで裁縫も刺繍も編物も、部屋の掃除も囲炉に火を焚くことも、洗濯も包丁を使うことも、ハシでごはんを食べることも一流の腕前で出来るようになりましだ。私達は、私達の全ての売り物を、もっと、もっと徹底的に磨き上げることが出来るはずです。お客様のニーズに合わせて、営業の体勢、会社の体勢を整え、設備を近代化し、クレームを撲滅し、味の改良をくり返し、より完璧な食品を届けるよう努めなければならない。

 環境の激変に耐え、激しい競争に生き残り、目標にチャンンジし、売上や利益が順調であり続ける事ほど企業やその社員にとつて幸福なことはない。
 そんな会社を、未来につながるナイスカンパニー、エクセレントカンパニーを創り上げることが出来れば、その原動力となることが出来れば、偶然に入った会社、偶然に出会った運命の中で、一回きりの私達の人生が、どんなに輝いたものになるだろう。

「人間は誰でも、本来、何事をも、自分が深く思い、考えたとおりに成すことができる。自分が、もし出来ないと思えば何事も出来ないし、出来ると信念すれば、何事をもなすことが出来る。つまり、すべてが自分が自分自身に課した信念のとおりになる」。(中村天風「成功の実現」)

 この事業発展計画書は、私が精魂こめて書きあげた、お客様に対する考え方、あらゆるサービスの姿勢、心、信念する経営思想をまとめたものである。
 全社員とその家族が、豊かで、明るい生活を営むために遂行しなければならない必達の売上、必達の利益が明示してあり、それを実現するすべての戦略、方針、構想、実行手段が網羅されている。
 私は、この必達の売上利益確保のために、お客様第一主義を採り、競争力を強化し、新しい市場開拓を行い、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、実行する。

平成8年1月27日
取締役社長 吉村直樹